번역물/[번역] 다다미 넉장반 왕국견문록完

다다미 넉 장 반 왕국견문록 p.269~p.272 다다미 넉 장 반 왕국건국사

P缶 2021. 5. 30. 17:14

p.269

바보신의 말씀에 따르면 '자신의 재능을 세상을 위해, 남을 위해 사용하지 않을 것', '무익한 일만 할 것', '착한 사람일 것'이 바보신이 되기 위한 세 가지 조건이라고 한다.
짐은 분명히 그 조건들을 충족하고 있다 해도 무방했다.
그러나 면전에서 그런 말을 들었을 때, 가슴 속에서 솟아오르는 이 뭐라 표현할 수 없는 감정은 무엇이란 말인가.
바보신이 말씀하셨다.

"착잡한 표정이구나."
"칭찬받는 것 같지 않아요."
"별로 칭찬하는 게 아니니까. 하지만 너는 다다미 넉 장 반 세계에서 살겠다고 맹세한 남자다. 너라면 이 다다미 넉 장 반을 근사하고 신비하며 유쾌한 세상으로 만들 수 있을 거야. 그리고 이 우주에 편재하는 무수한 다다미 넉 장 반에도 영향을 줄 게 틀림없다."
"그러면 어떻게 되나요?"
"어떻게 된다고 할 정도로, 어떻게 되지 않을 것이다. 그게 바보신이라는 거야. 군림하되 통치하지 않는."
그때였다.
짐은 저 멀리 아래 세상에서 들려오는 희미한 소리를 들었다.

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阿呆神のお言葉によれば、「自分の才能を世のため人のために生かさない」「無益なことしかしない」「善人である」ということが阿呆神になるための三つの条件であるという。
余はたしかにそれらの条件を満たしていると言ってもよい。
しかし面と向かってそう言われたとき、胸中に湧き上がるこの何とも言えない感情は何であろうか。
「複雑な顔をしているな」と阿呆神は仰った。
「褒められているような気がしないのです」 
「とくに褒めているわけではないからな。しかしおまえは四畳半世界に生きると誓った男だ。おまえであればこの四畳半を素晴らしく神秘的な愉快な世界にできるだろう。 そしてこの宇宙に遍在する無数の四畳半にも影響を与えるに違いない」 
「そうすると、どうなりますか?」 
「どうなるというほど、どうにもなりはすまい。それが阿呆神というものだ。君臨すれども統治せず」
そのときである。
余は遥か彼方の下界から届く微かな音に気づいたのだ。

阿呆神のお言葉によれば、「自分の才能を世のため人のために生かさない」「無益なことしかしない」「善人である」ということが阿呆神になるための三つの条件であるという。
余はたしかにそれらの条件を満たしていると言ってもよい。
しかし面と向かってそう言われたとき、胸中に湧き上がるこの何とも言えない感情は何であろうか。
「複雑な顔をしているな」と阿呆神は仰った。
「褒められているような気がしないのです」 
「とくに褒めているわけではないからな。しかしおまえは四畳半世界に生きると誓った男だ。おまえであればこの四畳半を素晴らしく神秘的な愉快な世界にできるだろう。 そしてこの宇宙に遍在する無数の四畳半にも影響を与えるに違いない」 
「そうすると、どうなりますか?」 
「どうなるというほど、どうにもなりはすまい。それが阿呆神というものだ。君臨すれども統治せず」
そのときである。
余は遥か彼方の下界から届く微かな音に気づいたのだ。


p.270

아파트를 둘러싼 의문의 쇠파이프를 두드리는, 그리운 소리였다. 깡깡, 맑고 즐겁기까지 한 소리가 짐의 귀에 기분 좋게 울려퍼졌다. 분명 그 수학 귀신이 새로운 수학적 흥분에 사로잡혀 쇠파이프를 두드리고 있는 것이리라.
그리고 그 소음에 질린 주민이 포효한다. 그 포효에 격노한 다른 주민이 포효한다. 유화 물감을 덧칠하듯 울적한 포효가 포효를 부르고, 그리고―.
"무슨 생각 중이지?"
바보신이 말씀하셨다.
그 수학을 사랑하는 남자와 짐은 그다지 친한 사이가 아니다. 그 아파트의 주민들과 나는, 별 연대감을 가지고 있지 않다. 그래도, 그렇더라도 역시 자신과 똑같이 우스꽝스러운 싸움을 계속하고 있는 그들에 대한 우정같은 것이 짐의 가슴을 끓이는 것 같았다. 짐도 또한 그들과 같이 고고한 길을 가는 사람임은 두말할 필요가 없다.
그렇지마는, 신이 되려고 한 것은 아니다.
그렇다면 짐은 무엇이 되려고 했던 걸까.
"슬슬 물러가 보겠습니다."
짐은 그렇게 말하고 엎드려 절했다.
그런가하고 바보신은 어이없다는 듯 고개를 끄덕였다.

"그럼, 돌아가는 게 좋아. 아무튼 쓸쓸한 자리야.

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それは懐かしい、あの鉄筋アパートに張り巡らされた謎の鉄管を叩く音であった。 カーンカーンと澄んだ、そして楽しげでさえある音が、余の耳に心地よく響いた。きっとあの数学の鬼が、新たなる数学的興奮に駆られて鉄管を叩いているのであろう。
そしてそのうるささに辟易した住民が咆哮する。その咆哮に激怒した他の住民が咆哮 する。油絵の具を塗り重ねるように鬱屈した咆哮が咆哮を呼んで、そして――。 
「何を考えている?」
阿呆神は仰られた。
あの数学を愛する男と余は、さして親しい間柄でない。あの鉄筋アパートの住民たちと余は、ほとんど何の連帯感も有していないのである。それでも、それでもなお、 自分と同じように妙ちくりんな戦いを続けている彼に対する友情めいたものが余の胸湧いてきた。余もまた彼と同じく孤高の道を行く男であることは言うまでもない。 
だがしかし、余は神になろうとしたわけではない。 
それでは、余は何になろうとしていたのであろうか。
「そろそろおいとまいたします
余はそう言って平伏した。
「そうかい」と阿呆神はあっけなく頷かれた。

「それでは帰るが良いよ。なにしろ淋しい商売だ。

おいとま申し上(もうしあげ)ます 물러가겠습니다

平伏へいふく 납죽 엎드려 절함

それは懐かしい、あの鉄筋アパートに張り巡らされた謎の鉄管を叩く音であった。 カーンカーンと澄んだ、そして楽しげでさえある音が、余の耳に心地よく響いた。きっとあの数学の鬼が、新たなる数学的興奮に駆られて鉄管を叩いているのであろう。
そしてそのうるささに辟易した住民が咆哮する。その咆哮に激怒した他の住民が咆哮 する。油絵の具を塗り重ねるように鬱屈した咆哮が咆哮を呼んで、そして――。 
「何を考えている?」
阿呆神は仰られた。
あの数学を愛する男と余は、さして親しい間柄でない。あの鉄筋アパートの住民たちと余は、ほとんど何の連帯感も有していないのである。それでも、それでもなお、 自分と同じように妙ちくりんな戦いを続けている彼に対する友情めいたものが余の胸湧いてきた。余もまた彼と同じく孤高の道を行く男であることは言うまでもない。 
だがしかし、余は神になろうとしたわけではない。 
それでは、余は何になろうとしていたのであろうか。
「そろそろおいとまいたします
余はそう言って平伏した。
「そうかい」と阿呆神はあっけなく頷かれた。

「それでは帰るが良いよ。なにしろ淋しい商売だ。

おいとま申し上(もうしあげ)ます 물러가겠습니다

平伏へいふく 납죽 엎드려 절함


p.271

바보신에게도 자기 좋을대로 하는 인간은 싫지 않구나. 대신 넌 좀 더 넓은 세상으로 돌아가도록 해라."
"무슨 말씀이십니까?"
"돌아가 보면 알 거다. 바보신에게는 전부가 보이는 것이다."
이리하여 짐은 바보신의 자리를 잇지 않고 무사히 다다미 넉 장 반 왕국으로 돌아온 것이다.
짐은 다시 사막의 천문대에 머물렀다.
이튿날에는 천문대에서 사막을 넘어 바다에 떠 있는 무인도, 다다미 넉 장 섬으로 떠났다.
해변에 앉아 파도 소리를 듣고 있노라니 반가운 기분이 들었다.
짐은 해변에 놓인 전열기로 소시지를 노릇노릇하게 구웠다.
일몰이 내려앉은 무인도 해변에서 소시지와 맥주로 만찬을 하다 보니 참으로 흥겨웠다. 어릴 적에 이런 즐거움을 맛봤던 일이 떠올랐다. 집 거실에 시트와 소파를 이용해 무인도를 만들어 놓고 동생들과 놀던 날들. 작은 거실이 우리의 상상 하나로 태평양의 외딴 섬이 되기도 하고, 달 표면으로도, 정글의 오지가 되기도 했다. 혼자 이 땅에 다다라서 다다미 넉 장 반 왕국이라는 세계를 이룩하고, 다다미 위의 로빈슨인 체하는 지금도 그날의 즐거움이 생생히 떠오른다.

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阿呆神に好き好んでなろうなんていう人間はいやしない。その代わり、 おまえはもっと広い世界に帰るがいい」 
「どういうことですか?」 
「帰れば分かる。阿呆神には一切が見えている」
かくして余は阿呆神の座を継ぐこともなく、無事に四畳半王国に帰ってきたのである。
余はふたたび砂漠の天文台に滞在した。
翌日には天文台から砂漠を越えた先にある海に浮かぶ無人島「ヨジョウハン島」に出かけた。
浜辺に座って海の音を聞いていると懐かしい気持ちになった。
余は浜辺に置かれた電熱器でソーセージをこんがり焼いた。
夜の帳のおりた無人島の浜辺でソーセージと麦酒の晩餐をやっていると、しみじみと愉しかった。余は子どもの頃にもこのような愉しみを味わっていたことを思い起こした。家の居間にシーツやソファを使って無人島を作っては弟たちと遊んだ日々。小さな居間が我々の想像一つで太平洋の孤島にも、月面にも、ジャングルの奥地にもなった。一人地に辿りつき四畳半王国という世界を築き上げ、畳の上のロビンソンを気取るようになった今でも、あの日の楽しさをありありと思い出す。

阿呆神に好き好んでなろうなんていう人間はいやしない。その代わり、 おまえはもっと広い世界に帰るがいい」 
「どういうことですか?」 
「帰れば分かる。阿呆神には一切が見えている」
かくして余は阿呆神の座を継ぐこともなく、無事に四畳半王国に帰ってきたのである。
余はふたたび砂漠の天文台に滞在した。
翌日には天文台から砂漠を越えた先にある海に浮かぶ無人島「ヨジョウハン島」に出かけた。
浜辺に座って海の音を聞いていると懐かしい気持ちになった。
余は浜辺に置かれた電熱器でソーセージをこんがり焼いた。
夜の帳のおりた無人島の浜辺でソーセージと麦酒の晩餐をやっていると、しみじみと愉しかった。余は子どもの頃にもこのような愉しみを味わっていたことを思い起こした。家の居間にシーツやソファを使って無人島を作っては弟たちと遊んだ日々。小さな居間が我々の想像一つで太平洋の孤島にも、月面にも、ジャングルの奥地にもなった。一人地に辿りつき四畳半王国という世界を築き上げ、畳の上のロビンソンを気取るようになった今でも、あの日の楽しさをありありと思い出す。

すき‐このみ【好き好み】
好みとすること。また、そのもの。嗜好(しこう)。「子供の好き好みに合わせる」


p.272

그 시절 세상은 아주 작았으며 안쪽으로 무한히 펼쳐져 있었다. 세상의 끝은 집 안에도 있었고, 마당에도 있었고, 공원 한켠에도 있었다. 지금에 와서는 아련하고 희미한 그 시대와 이 다다미 넉 장 반 왕국은 얼마나 닮아있는 것인가. 일찍이 중국은 고대 왕조를 이상적인 왕조로 여겼다고 한다. 짐은 거실에서 매일 모험하던 그 시절을 신화처럼 떠올렸다.

새벽에 꾸벅꾸벅 졸다가 짐은 눈을 떴다. 다다미 넉 장 반 왕국의 하루가 시작됐다. 바다 건너에서 떠오르는 태양을 향해 절한 뒤 짐은 다시 넉 장 반호를 타고 바다로 나갔다.
바다를 건너면 뭐가 있을지 모른다. 그곳에 있는 것은 다다미 넉 장 반 왕국에 남겨진 미지의 영역, 우리 국토의 끝, 즉 다다미 넉 장 반 세계가 끝나는 곳이다.
가혹한 긴 여행이었다.
하루가 가고, 이틀이 흐르고, 일주일이 지났다. 수평선 위에 나타나는 해적선 그림자에 겁을 먹고, 천지가 뒤집힐 듯한 폭풍우에 부대끼며, 작열하는 태양에 익어가고, 굶주림과 갈증과 지루함에 시달렸다. 한밤중에 큰 소용돌이를 만났을 때는 살아있는 감각도 없어서, 과연 도 여행 떠난 것을 후회했다.

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あの頃、世界はたいへんに小さく、それは内側に無限に広がっていた。世界の果ては家の中にもあり、庭にもあり、公園の片隅にもあった。今となっては淡く霞んで見えるあの時代と、 この四畳半王国はなんと似通っていることであろう。かつて中国では古代の王朝が理 想の王朝とされていた。余は家の居間で毎日冒険していたあの頃を神話の時代のように思い出すのだ。
明け方にうつらうつらしたあと、余は目覚めた。四畳半王国の一日が始まった。海の向こうから上る太陽を拝んだあと、余はふたたび我が船「四畳半号」に乗って海へ出た。
その海を越えた先に何があるのか分からぬ。そこに広がるのは四畳半王国に残された未知の領域、我が国土の最奥、つまり四畳半世界の果てるところである。
それは過酷な長い旅となった。
一日が過ぎ、二日が過ぎ、そして一週間が過ぎた。水平線上に現れる海賊船の船影 に怯え、天地がひっくり返るような大嵐に揉まれ、灼熱の太陽に焼かれ、飢えと渇きと退屈に苦しめられた。真夜中に大渦巻きに出逢ったときは生きた心地もなく、さすがの余も船出したことを後悔した。

あの頃、世界はたいへんに小さく、それは内側に無限に広がっていた。世界の果ては家の中にもあり、庭にもあり、公園の片隅にもあった。今となっては淡く霞んで見えるあの時代と、 この四畳半王国はなんと似通っていることであろう。かつて中国では古代の王朝が理 想の王朝とされていた。余は家の居間で毎日冒険していたあの頃を神話の時代のように思い出すのだ。
明け方にうつらうつらしたあと、余は目覚めた。四畳半王国の一日が始まった。海の向こうから上る太陽を拝んだあと、余はふたたび我が船「四畳半号」に乗って海へ出た。
その海を越えた先に何があるのか分からぬ。そこに広がるのは四畳半王国に残された未知の領域、我が国土の最奥、つまり四畳半世界の果てるところである。
それは過酷な長い旅となった。
一日が過ぎ、二日が過ぎ、そして一週間が過ぎた。水平線上に現れる海賊船の船影 に怯え、天地がひっくり返るような大嵐に揉まれ、灼熱の太陽に焼かれ、飢えと渇きと退屈に苦しめられた。真夜中に大渦巻きに出逢ったときは生きた心地もなく、さすがの余も船出したことを後悔した。